使う人にやさしいMovable Typeを考える ~作り手が,使い手のためにすべきこと~ に参加しました

先週、技術評論社主催の「使う人にやさしいMovable Typeを考える ~作り手が,使い手のためにすべきこと~」に参加してきました。 今回のイベントは、通常のセミナー形式ではなく、参加者20名程度のこぢんまりとしたトークセッションで、全体を通して和やかな雰囲気のイベントでした。 スピーカーは、『これからはじめる MovableTypeの本』の著者であるWeb creation unit -#f...

これからはじめる MovableTypeの本

先週、技術評論社主催の「使う人にやさしいMovable Typeを考える ~作り手が,使い手のためにすべきこと~」に参加してきました。

今回のイベントは、通常のセミナー形式ではなく、参加者20名程度のこぢんまりとしたトークセッションで、全体を通して和やかな雰囲気のイベントでした。

スピーカーは、『これからはじめる MovableTypeの本』の著者であるWeb creation unit -#fc0-の やまもといずみさん と ふじかわまゆこさん、モデレーターは、Six Apartの上ノ郷谷太一さんでした。

イベントのテーマについて

おもしろかったです。

今回のイベントは、「使いやすい Movable Type のサイトを作るには」というのがメインテーマでした。その中でも特に、『これからはじめる MovableTypeの本』のターゲット層でもある「Movable Typeの初心者、さらにはパソコンの初心者が使いやすい MTサイトにするには」がメインとなりました。

こういった内容をメインに扱うイベントって僕が知っている限りではほとんどなかったと思いますが、これ、すごく大事ですよね。

Webサイトを制作するときって、エンドユーザー(いわゆるWeb制作会社のクライアントのお客様)のために最高のサービスを提供しようと、ユーザビリティから何から力を注ぎますよね。

でもクライアントにも最高のサービスを提供しないと、結局、最大の目的であるエンドユーザーのためのサービスの質も維持できないのかな、と思ったりもします。出来上がったサイトを使ってビジネスをするのはクライアントです。どんなに良いツールでも、使いにくくては使わなくなってしまうものです。

当然、コスト面との相談にもなりますが。

#fc0さんって素敵

#fc0さんは、濃密なコミュニケーションを通じて、クライアントのモチベーションを上げていくそうです。とても参考になります。#fc0さんは、その制作スタイルを通じてクライアントのお客様へも最高のサービスを提供しているんだな、と思いました。

#fc0さんが作ったサイトの多くは、出来上がった後もどんどん進化していくそうです。それって作り手としては、かなり嬉しいことですよね。きっと、Webサイトが進化していけば、それに比例してクライアントのビジネスにも良い結果をもたらしていくことでしょう。

僕は、仕事にしても趣味にしても、モチベーションを高く保つことって、一番重要だと思っています。ましてや、他人のモチベーションを高めていくことは非常に困難なことです。それについて真剣に取り組める#fc0のお二人はすごいです。#fc0さんがクライアントを大切にしている証拠でしょう。

また、#fc0さんのクライアント(その他お客)を大切にする姿勢は、今回のイベントでも垣間見ることができました。

僕も帰り際になって名刺交換をさせていただきましたが、その時の僅かなコミュニケーションからも感じましたし、イベント参加者をエレベーターまで見送りにいったりと、通常のビジネスシーンでは常識的なことかも知れませんが、それをどんな場でも笑顔で実践できるのはすごいです。

#fc0さんの「#fc0って?」というページに以下のようなメッセージが載っています。

「#fc0」とは、Web制作で使われる色コードのひとつ。私たちが大好きな色です。

日々、この色が黄色なのかオレンジなのか議論を重ねていますが結論が出ません。この色のような元気で明るい感じでお仕事をしていけたらと思っています。

これをまさに実践しているんだと感じました。

#fc0さんって素敵です。

これからはじめる MovableTypeの本

クライアントさんが使いやすいMTを提供するというと、僕の場合、管理画面をカスタマイズして、項目通りに入力していけば良いようにしようと思ってしまいます。

モチベーションがどうこういう問題以前に、義務的に更新するだけの企業の担当者にとっては、この方が使いやすいと思います。しかし、小規模の会社や個人事業主のサイトの場合、「自分たちで完成したWebサイトを育てていきたい!」と思わせ、それを後押しするのであれば、あえて管理画面はカスタマイズせずに、デフォルトのまま使ってもらうのも一つの方法ですね。

そういったクライアントさんには『これからはじめる MovableTypeの本』を渡してあげたいと思います。

最初必要とするページに付箋でもはってあげれば完璧ですね。

「パソコンができる」って?

さて、今回のイベントの中でも、パソコンがある程度できる人でも MTが初めてだと全然扱えないことがある、というようなお話もありました。

この「パソコンができる人」ってすごく微妙ですよね。何が微妙かって、「何ができるか」が非常に多岐にわたるからです。

例えば、自作でPC作っちゃう人、ワードで素敵なパンフレット作っちゃう人、エクセルの達人、高速ブラインドタッチ、ネットワークの設定ができる人、などなど「できる」ことが全然違うんですよね。

これらの人たちっで一般的には「パソコンができる人」で、初心者からみれば神様のような存在にもなりかねません。それでも彼らが「Webサービスをほとんど使わない人」だったらやっぱり MTを使うのは苦労するんですよね。当然全くの初心者よりは勘はいいので吸収は速いですが。

だから僕は、以下のように Webサービスの使用頻度について確認するようにしています。

  • ブログをやっているか
  • mixiをやっているか
  • ヤフオクをやっているか
  • オンラインストレージやファイル転送サービスを使っているか
  • ホームページを作ったことがあるか

ここで注意が必要なのは、「ホームページを作ったことがあるか」です。「ホームページビルダーで作ったことがある」という人は意外といるのですが、それらの人はWebに関する知識がほとんどない場合が多いです。つまり「ワードができる」といった「デスクトップアプリができる」というジャンルで考えた方が良い場合が多いです。

パソコンが全くできない人にはどう教える?

僕は、MTに限らず、周りの「本当にパソコンが全くできない人」に何かの操作を教えることがちょくちょくあります。

その僅かな経験から言えることを簡単にあげてみます。僕も決して詳しい人間ではないのですが。

なんでもかんでもダブルクリックしないでね

Webブラウザ上でダブルクリックするシーンはほとんどないことを説明しておきます。

初心者にカタカナは禁物

カタカナ用語は禁物です。そういう人たちは、パソコンに対する苦手意識が非常に強いので、カタカナ用語が出てくると、内容を理解しようとせず、自ら脳の考える活動を停止させてしまいます。

カタカナ用語は、パソコンについて教える際は使わざるを得ませんが、なんとかそいつの存在感を薄くしてサラッと登場させ、潜在意識に刷り込むことを目的とします。

例えば、「ドラッグ&ドロップ」の説明は以下の通りです。

「まずこのアイコンをマウスでクリックするんですけど、カチッとクリックしたときにボタンを話さないで押したままにします。それでそのままこっちの窓にウィーンって持ってきて、ここでパッと指を離します。これをドラッグ&ドロップっていうんですけど、そうするとファイルが移動できるんです。」

ウェブブラウザって何?

インターネットを頻繁に見る人でも「ウェブブラウザ」すら知らない人が多いです。そういう人にとっては、

「インターネット」=「Internet Explorer」

なんです。これは「インターネット」を「Internet Explorer」で見るのが当然、ということではなく、デスクトップの「e」のアイコンをダブルクリックして開く「Internet Explorer」自体が「インターネット」であると思っているということです。

実在する人・モノをイメージさせる

いきなり「Web上に」とか「サーバーが」とか色々言ってはダメです。具体的なイメージが湧かないからです。まずは具体的にイメージできるように説明しましょう。

例えばKAGOAYのレンタルサーバーでホームページを公開する仕組みを説明してみます。

「京都にカゴヤ・ジャパン株式会社という会社があるんですが、その会社の一室に高機能なパソコンがずらっと並んでいる部屋があるんですね。今回カゴヤさんと契約して、その中のパソコンを1台貸してもらうことになるんです。貸してくれると言っても、パソコンの自体はカゴヤさんに置いてあるままで、そのパソコンの管理はカゴヤの担当者さんが入れ替わりで24時間やってくれます。今回作るホームページは、その借りたパソコンにメールのようにデータを送って保存します。そのパソコンの中は、我々契約者にしか見ることができない管理画面用のフォルダと、世界中の誰でも見ることができるフォルダに分かれているんです。ホームページのデータは、その誰でも見ることができるフォルダに保存するんです。」

メールに対してそれほど拒絶反応を示さないのは、メールを送った後に「メールを送りましたが届きましたか?」と確認でき、実在する人をイメージできるからというのもあると思います。

効果音やジェスチャーを付けて説明する

カタカナ用語の説明の例のドラッグ&ドロップのように、「カチッと」「ウィーン」「パッと」のように効果音を付けて説明します。聞き手の拒絶反応を和らげる効果があります。

「難しいね〜」といわれたら

「たいてい説明が終わると「難しいね〜」と言われます。そんなときは、「いやいや、普段されているお仕事よりもずっと簡単ですよ。あとは慣れだけです。」といって、聞き手の固定観念を取り除きます。

とりあえずそんな所でしょうか。もっと洗い出してまとめてみたらおもしろいかも知れません。

以上、話はそれましたが、楽しかったイベントの感想でした。

Published 2009-03-29
Updated 2019-06-25